第89回 選抜高校野球大会 21世紀枠

2017年3月19日に開幕する第89回選抜高校野球大会。参加32校の内3校が《21世紀枠》

東日本から1校。西日本から1校。もう1校は地域に限らず選出される。

まず1都1道2府43県から連盟推薦を受けた高校が審査対象になり、2016年12月16日に最終候補となる9校が各地区から選出され、2017年1月27日に全出場校が決定する。

 

 

《21世紀枠》候補の中でも異彩を放つ高校をピックアップし紹介する。

 

 

関東•東京地区推薦

石橋(栃木)

部員19名“守りの野球”を投手 竹内海斗。捕手 渡辺彬仁。のバッテリーが支える。

今秋、県立石橋が旋風を巻き起こした。エース•竹内海斗を中心とした“守りの野球”で県大会57年ぶりの決勝進出を果たし、関東大会初出場。

県の決勝では作新学院に1-5、関東大会では東海大市原望洋に2-5で敗れるも、選抜出場が濃厚な強豪私学に食らいついた。

 

“守りの野球”で快進撃

ここ10年間、12年秋の8強が最高で、夏は3回戦止まりと結果を残せていなかった。毎日7時間授業が組まれているため、放課後の練習はおよそ2時間。このような状況下で、秋の快進撃はなぜ生まれたのだろうか。

 

キーマンとなるのが共に今春に赴任した福田博之監督斎藤忠コーチ。

福田監督は真岡高の部長、宇都宮北高の監督として春秋の関東大会に出場。

斎藤コーチは昨年まで鹿沼高を率い、育成功労賞を受賞。定年退職した後、再任用で石橋に赴任した。

タッグを組んで初めての公式戦となる春は、2回戦で国学院栃木に1-9で大敗。守備の乱れが相次いだ。「斎藤先生とも相談して、キャッチボールを含めた守備を鍛え直す。負けたあとの練習から、守備練習に重点を置きました。」(福田監督)

ボールの握り変え、フットワークなどを丁寧に繰り返し、守備練習に多くの時間を割いた。夏は初戦で敗れたが、優勝候補の文星芸大付に1-4と食い下がった。

「打撃はもちろん大事。でも、県立校でそこまで打つ選手がそろう事は滅多にありません。県立校が勝つには昔ながらの守りの野球が大事だと感じています」

守りの野球を継続する中、「この秋1番成長した」と福田監督が語るのが捕手の渡辺彬仁だ。「よく努力する子です。はじめは竹内との息が合っていなかったんですが、渡辺が成長するにつれて、竹内も信頼するようになりましたね」

転機となったのが3回戦の文星芸大付だった。竹内にかけられた一言が渡辺を変えた。「文星の 3番打者に打たれた場面があったんですけど、僕がインコースのストレートを要求したにもかかわらず、死球が怖かったので少し甘めに構えてしまった。ベンチに戻った後に『キャッチャーがビビってどうするんだ!』と竹内に声をかけてもらってから『堂々とプレーしよう』と心がけました

 

トレーナーはソウル五輪代表?

秋の大会後、チームは新たな取り組みを始めている。陸上部の栗原浩司先生に依頼して、走力アップのトレーニングを導入。栗原氏はソウル5輪の100メートル代表と言うとんでもない経歴を持っている。「走りが良くなっている選手が多い。これからが楽しみですね」と手応えありの栗原先生だ。

 

“集中力”こそ文武両道の強み

福田監督に「進学校の強みとは?」と尋ねると、真っ先に「集中力」を挙げた。勉強と野球の両立を目指しているからこそ、限られた時間の中での集中力が必要になる。福田監督、斉藤コーチにとって初めて迎える石橋での冬。頭の中にどんな成長プランを描いているのか。新生、石橋の戦いはまだ始まったばかりである。

 

 

 

参考書籍:ホームラン センバツ2017